税務調査

預貯金に関する税務調査の視点

亡くなった方(被相続人)の預貯金だけではなく配偶者、子、孫など親族名義の預貯金まで税務調査の対象になることがあります。税務調査が実施されると、下記のような視点で預貯金に関する質問・調査を受けることになります。



調査官は金融機関などに出向き、被相続人や親族の預貯金の入出金記録を調査することができます。配偶者、子、孫などの名義になっている預貯金であっても、その資金の出どころが被相続人で、贈与契約書や贈与税の申告がなく、その預貯金の管理状況などから実質的な所有者が被相続人であると認められるような預貯金を「名義預金」といいます。
名義預金は被相続人の財産とみなされ相続税の課税対象となります。配偶者、子、孫などの名義になっている預貯金であっても、その名義者本人が、その預貯金を預け入れた経緯などを調査官に対して説明できなければ「名義預金ではないのか」と疑われることがあります。

調査官は、誰が金融機関で入出金手続きをしたのか、どこのATMで現金を引出したのかを調べ、預貯金の管理者を確認します。被相続人の預貯金を親族が管理している場合に、その預貯金の口座から頻繁に現金が引き出されているような事があれば、その引き出した現金の使途を調査官から質問されることがあります。被相続人の預貯金を、親族が消費していると相続税・贈与税の課税問題が生じる場合があります。

被相続人の指示なしに、キャッシュカード等で被相続人名義の預貯金を引出せば、その現金を被相続人から預かっているものとみなされ相続税が課税される場合があります。
「被相続人からもらったお金だ」と説明しても、その預貯金を引出した時点で被相続人が老人ホーム等に入居しており、正常な判断ができないような状況であれば贈与が成立しないため相続税の課税問題が生じます。

贈与税の時効は6年ですが、調査官に対し、安易に贈与税の時効を主張することはできません。
過去に大きな現金の贈与を受けているのにも関わらず贈与税の申告がされていなければ、調査官から「なぜ贈与税の申告をしなかったのか」、「贈与税の申告がないという事は、お金をもらったわけでなく、お金を借りているのではないか」と指摘され、「もらった」という贈与行為を疑われるケースがあります。もし、「お金を借りた」ということになれば、それは被相続人の貸付債権(相続財産)となり、相続税が課税されることになります。